「どうして!?」
叫ぶ岩上をなだめるように、進は両手を背中に回して抱きしめた。
ギュッと力を込めて抱きしめてみると、岩上の体は想像以上に華奢だということがわかった。


一軒か弱いこの女が復讐のためにここまでのことをしたのだ。
それは信じがたいことで、そこまで負の力を溜め込ませてしまったクラス全体への憎しみがよく理解できることだった。


「心配しなくても大丈夫。少し痛いだけだから」
岩上の耳元で進が呟く。
「え?」


岩上が動きを止めた次の瞬間だった。
進は持っていたナイフを岩上の背中に突き刺したのだ。


1度目は骨に邪魔されて深く刺すことができなかったので、すぐに引き抜いて深く深く突き刺した。
岩上が口を大きく開いてなにか言おうとしている。
そんな岩上の体を進は両手で突き飛ばした。


「あ……あ……」
岩上は小さく声を上げてよろよろと後退したかと思うと、カメラごと倒れ込んでいた。
背中に突き刺さったナイフは引き抜かれていて、傷口からドクドクと血が溢れ出す。