進にとってこの出来事の主人公は岩上であり、だからこそわざとピンチを再現したんだ!
そのほうが視聴者が喜ぶとわかっていたから!
自分を助けた本当の理由を理解した瞬間、打ちのめされた。


心がズシンッと重たくなって口を開くこともできない。
次から次へと溢れ出てくる涙を止めることもできなくて、ただただ嗚咽が漏れた。


自分はここで岩上と進によって殺されるんだ。
ハンマーで頭を砕かれて死んでいたほうが、よほど楽な死に方になっていたかもしれない。
視界ですべてが滲んで見えなくなった時、進がなにかを手にして振り向いた。


それがなにかハッキリと確認することはできなかった。
進はそれを握りしめた状態で由佳に近づいてくる。
なにかわからないけれど、あれで殺されるんだろうか。


それともいたぶるだけいたぶって、違う方法で殺されるんだろうか。
「私がやる」
岩上が進に手を伸ばして言った。


「こいつは絶対に私がやらないといけない」
その言葉は決意に満ちている。
「いや、俺がやる」