そんなコメントが流れていることにも気がついていなかった。
放課後進を呼び止めて味方に付けたときから、少しの気の緩みがあったことは確かだった。


でもそれだけじゃない。
進は授業を邪魔しているグループの1人だったが、由佳を制御していることを岩上は見抜いていたのだ。


進が近くにいるとき、由佳は比較的静かになる。
そのときだけは、自分の声が生徒たちに届くような気がした。
進からすればそれは予期していない幸運だった。


由佳を制御していた気はなく、ただ自分が由佳と会話がしたいから教室の騒音が邪魔になってみんなを黙らせただけだった。
「クラス内でたった、1人。あなただけはいつも私の味方をしてくれた」


岩上のつぶやきを聞いて進は一瞬眉間にシワを寄せた。
けれど振り返らずに鞄の中を確かめる。
中には進が想像していた以上の様々な機械が入れられていた。


中にはなにに使うかわからないようなものまである。