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「大丈夫だよ。復讐はもう終わりにしよう」
進がゆったりとした口調で告げて、岩上の体を抱きしめる。
キツネ面が落ちてしまった岩上はされるがままになっていた。


「でも、まだ残ってる。君は助ける約束をしたけれど主犯格が残ってる!!」
岩上の視線が由佳へ向く。
由佳はビクリと体を跳ねさせて「わ、私のせいじゃない」と、震える声で弁明した。


だけどそれは逆効果だった。
誰がどう見ても、由佳がイジメの主犯格だった。
更にはただの勘違いから暴走してしまっている。


これでは岩上が由佳を許すはずもなかった。
「あぁ、そうだな。だけどこれ以上先生が手を汚す必要はない」


進はそう言うと鞄の中に手を入れた。
岩上は止めようとしない。
呆然とした目で進を見つめているばかりだ。


『ばか、なにしてんだ!』『止めないと、武器を奪われちゃうでしょ!』