「ちょっと……手伝ってくれない?」
「はい? 手伝う?」
これからなにを手伝というんだろう。
まさか、狂った教師の授業の手伝いをしろというんじゃないだろうな。


冗談じゃない。
俺は由佳たちをまたせてるんだ。
「悪いんですけど、急いでるんで」


早口に言って教室を出ようとすると、素早い動きで行く手を塞がれた。
今までこんな俊敏な動きをする岩上を見たことがなくて、進は一瞬たじろいでしまった。


そうしているすきに太ももに痛みが走り抜けて、進はその場にしゃがみこんでいた。
「痛っ……」
顔をしかめて太ももを確認するが、とくになにも異変は見られない。


蜂にでもさされたかと勘ぐっていたとき、耳元でバチバチと音がして視線をむけた。
そこにあったのは岩上が握りしめているスタンガンだったのだ。
とっさに横っ飛びに逃げて目を見開く。


「本当は自分1人でするつもりだったの。でもやっぱり、協力者が居たほうがいいから」
「な、なんの話ですか?」
その間にも岩上は進の眼前でスタンガンを弄ぶ。