ふたりが付き合い始めたら今よりももっと楽しくなりそうなのに。
そうこうしている間に後ろから足音が聞こえてきて進が戻ってきた。
右手にはしっかりとスマホが握りしめられている。


「悪い悪い」


走ってきたから軽く息が切れて額に汗が滲んでいる。


「スマホは命なんだから、忘れないようにしなきゃ」


由佳は進の肩をポンッと叩く。
進はそれだけで照れたように赤くなって「そうだな」と、笑ったのだった。