「はい。顔を見せてね?」
うつ伏せになって這いずっていた由佳の顔がしっかり見えるように、キツネ面が移動させる。


仰向けになった由佳のか体の上にキツネ面がまたがった。
体の重みを掛けられて顔をしかめる。
骨折した肋骨が別の臓器に突き刺さったような痛みが走り、うめき声が漏れた。


「う~ん、まずは顔の右半分から行こうかな?」
キツネ面は元々由佳を即死させるつもりはないようだ。
わざとハンマーの位置を顔の中心からずらしている。


「そんなことせずに……さっさと殺してよ!」
叫ぶ由佳を見下ろしてキツネ面はまた笑う。


ボイスチェンジャーで変えられた声は、いつまでも慣れない不気味な笑い声を上げる。
「じゃ、いっきまぁす!」


煽るように行ってキツネ面がハンマーを振り上げる。
由佳はキツク目を閉じた。


キツネ面はもはや音声だけの配信をやめてしまっている。
自分の顔面が破損していく様子がすべて見られることになる。
いや、もともとキツネ面はそのつもりでいたのだろう。