今更悔やんでも、もう遅い。
「水澄が死んでとても悲しかった。だけどひとつだけ良かったと思うこともある。それはね……」
キツネ面が大きく息を吐き出す。


「あんたに出会うことなく、死んだこと」
スタンガンが由佳の頬に押し付けられて、炸裂する。


バチバチ! と激しい音が響くと同時に刺すような痛みを感じて悲鳴を上げた。
ゴロゴロとのたうち回る由佳を見て、キツネ面は笑い声をあげた。


「あぁ、やっぱり声を聞けたほうが楽しかったかなぁ?」
自分の獲物が悶え苦しみ、悲鳴を上げる様子にキツネ面は満足そうだ。
由佳は必死に奥歯を食いしばり、痛みが消えるのを待った。


ビリビリとした痛みが頬にいつまでも残っている。
気絶するほどの痛みじゃないのは、きっとキツネ面が拷問を楽しむために強度を調節しているからだろう。
痛みのせいか、自然と涙が出てきて視界が滲んだ。


「殺すなら……早く殺してよ!」