木の箱を頭に取り付けられて暴行を受けていたときだって、これほどの寒気は感じなかったのに。
「水澄は、私の妹はさっきあなたの話しに出てきた昂輝くんと付き合っていました」


ドクンッ。
由佳の心臓が大きく脈打つ。
そのまま止まってしまうんじゃないかと思うほどの衝撃が走る。


「う……そ……」
喉がカラカラに乾いて声が張り付いた。
見開かれたままの目が乾燥して視界がボヤける。


それでも由佳はまばたきもできないままキツネ面を見上げていた。
「さっきもいいましたが、私の大切な人は死にました。水澄は……昂輝くんが事故死した一週間後に、自殺しています」


雷が落ちた。
ゴロゴロと稲光がして由佳の脳天に直接落雷する。


嘘だ。
そんなの嘘だ。
なにか言いたいのに声が出ない。