由佳の存在に今気がついた様子でキツネ面が振り向いた。
そしてしゃがみこんで紙を眼前にかざす。
それは1枚の写真だった。
ふたりの女性が仲良さそうに並んで立っている。


1人は岩上で間違いない。
もう1人はだれだろう。
わからないけれど、岩上にそっくりな顔をしている。


ただ、もう1人の女性はメガネの縁が黒色だから、別人なのだということがわかった。
身長も体格もほとんど同じだ。
由佳はその写真に目が釘付けになった。


なかなか視線を離すことができない。
自然と、頭の中に双子という言葉が浮かんできていた。
「こっちが私。こっちは双子の妹です」


黒縁メガネの方を指差して岩上が説明する。
やはりそうなのだ。
岩上は双子だったんだ。


でも、それがどうしたというのだろう。
今回の事件とはなにも関係ないはずだ。