吐き捨てる由佳を見下ろすキツネ面。
「もうそろそろそのお面取れば? 視聴者だってどうせあんたの味方しかいないんでしょう?」


「バレてました? そうです、視聴者さんたちはみんなこちらの味方です。クイズをしているのは事実ですけどね」
「こんなクイズをしても誰も通報しないとか、あんたの仲間そうとう頭おかしいんじゃないの!?」


「あはは! 骨を何本が折っているのに威勢がいいですねぇ」
キツネ面にそう言われてようやく痛みが戻って来る。
さっきまでは昂輝のことや強い怒りのことを思い出して、少しの間忘れてしまっていた。


だけど一度思い出すともうだめだった。
全身に痛みが駆け巡り、一体体のどこが痛いのかもわからなくなってくる。
それくらい、由佳の体はボロボロになっていた。


きっと、今音楽室から出ることができたとしても、走って逃げることはできないだろう。
「ところで、私の大切な人ですが……それは昂輝くんではありませんよ?」


キツネ面が由佳を見下ろし、低い声で言う。