「私は自分のしたことが間違っていたなんて思ってない」
すべてを語り終えた由佳は岩上を睨みあげた。


自分がしたことを正当化する気はないけれど、昂輝のために復讐したことは後悔していない。
むしろ、悪い相手が目の前にいるのに指をくわえて見ているだけなんて、由佳にはできなかった。


「そう。あなたの話はよくわかりました」
キツネ面がうんうんと頷いている。
「好きな人が死んだのは悲しいことですね」


「あんたのせいで死んだんじゃん!」
由佳は力の限り叫ぶ。
もう、外に声が聞こえるようにとか、そんなことは考えていなかった。


とにかく、目の前にいるキツネ面が許せないという気持ちからの叫びだった。


「私も大切な人を失ったことがあります。あのときは本当に、目の前が真っ白になりました」
キツネ面がゆっくりと由佳の周りを歩き始める。
それは挑発するような動きで、由佳はなおさら険しい表情をキツネ面へむけた。


「それって昂輝のことでしょ。あんたが殺したくせに!」