正直週1度の家庭教師の勉強だけでもう十分だった。
勉強なんて、しなくていいのならしたくないもののひとつだった。


きっと、教師とか、学者とか、なんか偉い人になる人たちっていうのは勉強が苦にならない、特別な人たちなんだと思っている。
残念ながら自分は凡人で、勉強は嫌いだった。


『ほら、勉強再開するぞ』
『はぁい……』
由佳は見たことのない岩上泉という女性に思いを馳せながら、テキストへ視線を落としたのだった。