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それからの授業で昂輝は時折彼女のことを話してくれるようになった。
きっと、昂輝も自分から彼女の話をしたかったんだろう。
勉強の休憩時間に彼女について質問すると、ほとんど答えてくれるようになった。


『彼女も同じ教師志望なんだ。もう少しで同じ教壇に立てるかもしれない』
昂輝は嬉しそうにそう話してくれた。
『へぇ、頭のいいカップルなんだ』


『頭がいいかどうかはわからないけど、教員免許が取れるくらいではあるかな』
その言い方が鼻にかかっていて、由佳はふくれっ面をした。
どうせ自分はそこまで賢くありませんよーと、おどけて舌を出す。


『由佳だって、これから教師を狙えるかもしれないぞ。頑張って勉強して、人に教えられるくらいになれば』
『それってどれだけ勉強が必要なのよ~』
由佳はうんざりしたようにつぶやいて机に突っ伏した。