早く箱を開けてガムテープで口を塞がないといけないが、なかなか動くことができない。
どうすればトラブルに見せることなく、この状況を打開できるだろうか。


どうにかして由佳を黙らせて、視聴者の不安も払拭しないと……。
そう思ったときだった。
ふと、ある考えが脳裏に浮かんだ。


そしてジッと由佳を見つめる。
由佳はキツネ面に見つめられていることに気が付かずに騒ぎ続けている。


キツネ面は大きく息を吸い込んで、カメラの前に立った。
カメラには自分の顔から下、胸のあたりしか映っていない。
それでも視聴者たちは『どうしたの?』『なにがあった!?』と、どんどんコメントをくれる。


ここを見ているみんなは自分の味方だ。
今日、ここでなにが起こるのか全部知っていて来てくれた。


最初の1万人という数字は嘘だ。
本当はごく一部の味方だけが視聴できるようにしていた。


だから、すべてを晒してもいいかもしれない。
堀川由佳という悪魔みたいな生徒を、みんなに見てもらうのだ。


「ではみなさん。ここでサプラーイズ! 最後のクイズということで、ちょっとお話を聞いてみましょう!」