その声にキツネ面はさすがにたじろいだ。
涙や汗でガムテープが緩むことは想定してなかったのだろう。
更に由佳の頭にはお手製の箱を取り付けている。


口を塞ぐためには、この箱をとらないといけなかった。
だけどそうすると由佳の声は余計に外へ聞こえてもれてしまうことになるだろう。


音楽室を選んだのはもちろん防音がしっかりしているからだけれど、今のように大きな声を出されるとさすがに外まで聞こえてしまう。
「お願い助けて! 誰か来て!」


箱の中でくぐもった悲鳴を続ける由佳にキツネ面は舌打ちをする。
配信中の画面を確認すると『なんだなんだ?』『獲物の悲鳴が聞こえてきた!』『もしかしてトラブってる?』と、キツネ面を心配する書き込みが一気に増えている。


それを見たキツネ面は小さく舌打ちをした。
せっかく最後のクイズまできたのに、これじゃ台無しだ。


このままじゃクイズを続けることも難しい。
どうするべきか……。
顎に手を当てて考えている間にも、由佳は叫び続けている。