涙が頬を伝ってガムテープに染み込んでいく。
キツネ面はそれに気が付かずに攻撃を続ける。
粘着質に腹部を攻撃していると、ボキッと骨が折れるような音がした。


それを聞いてキツネ面が我慢しきれなくなったように笑い声を漏らす。
「くっ……ふふふふっ!」
笑いながら、今度は由佳の手を踏みつける。


由佳の細い指先に自分の靴の形がくっきりと残る。
それを見たキツネ面は更に興奮したように由佳の手を踏みつけ続ける。


どうやら一箇所を何度も何度も攻撃するのが好きみたいだ。
由佳の手の皮がすりむけて血が流れ出しても、それは止まることがなかった。
指の骨がバラバラになるまで続けるつもりだ。


けれどその痛みは由佳にとって幸いでもあった。
涙が流れるままにしておくと口にはられたガムテープの粘着力は薄れていく。


そしてやがてそれは口からゆっくりと剥がれていったのだ。
「助けて!!!」


ガムテープが剥がれると同時に由佳は叫んだ。
声の限りに、絶対に外に届けてやるという力を込めて。