4人揃ってぞろぞろと帰宅できるのは、みんなが部活に入っていないからだった。
1年生の頃は強制的にどこかに入部しなければならなかったから、由佳は吹奏楽部に入っていた。

だけどそれも2年生になってからは綺麗サッパリやめてしまった。
学校の方針で部活に参加するように言われていただけで、別にやってみたいこともなかったし、実際にやってみたフルートはうまく音が出せないままで1年間が終わってしまった。

2年生になって退部してからはバイトでもしようかと思っていたのだけれど、これといってやりたい仕事を見つけることもできないまま、今になってしまった。
結局自分はなにもしたくないのかもしれないと、由佳は思う。

こうして4人で毎日ダラダラ過ごすことができればそれでいい。
それなりに楽しい時間を過ごしていると思うし、それ以上のことは望んでもいない。


「今日の岩上も面白かったねぇ」


階段を下りながら和美が言う。
岩上の担当科目は国語だけれど、国語の授業が始まると大抵の生徒たちが好き勝手に騒ぎ出す。