その道具はクイズには関係ないようで、画面に見せて視聴者たちの反応を楽しんでいる。
「この箱は、こういう風に穴が開いていて、それで半分開くようになっています」


キツネ面は画面へむけて箱の説明をする。
その説明を聞いている間に由佳の顔から血の気が引いてきた。


その箱はちょうど頭ひとつが入るほどの大きさで、首は出るように丸い穴が開けられている。
キツネ面がそれを持って由佳に近づいてきた。


由加は必死に身を捩って逃げようとするけれど、すぐに捕まってしまった。
キツネ面は箱を開けると由佳の頭にそれをかぶせたのだ。


突然訪れた暗闇に由佳は暴れる。
それでもおかまいなしに箱は閉じられ、鍵がかかる音がした。


箱の開閉場所に南京錠が取り付けられていたのだ。
「うーうー!!」
今までは自由と声を奪われていても周囲を見ることができた。


視界は鮮明だった。
それすら奪われてしまった由佳は半ばパニック状態に陥っている。