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「今回で最後の問題なので、ちょっと特別な演出をしようとおもいます」
カメラへむけてキツネ面が言う。
由佳はその言葉を聞いて身悶えをした。


進、和美、久貴。
みんなへ視線を向けるけれど、誰も動かない。
もう、3人共死んでしまったんだろうか。


さっきから音楽室の中はとても静かで、そして寒々しかった。
横倒しになった由佳の頬には誰かの血がこびりついて、ずっと鉄の匂いが鼻孔を刺激している。


これが誰の血なのか、それとも3人の血が混ざり合っているのかすら、わからない。
『特別な演出』と告げたキツネ面は鞄の中を探り始めた。
あの中にはまだまだ沢山の拷問器具が入っているはずだ。


一体自分はどんな道具で拷問を受けるのだろうかと考えると、由佳の背筋は寒くなる。
けれど岩上イジメをしたことは後悔していなかった。
あいつが教師になる資格なんてない。


それは今でもはっきりと断言できることだった。
久貴や進がどうしてそんなに岩上のことを嫌うのか質問してきたことがある。