しばらくシュレッダーを見つめていたキツネ面は思いついたように棚へと向かった。
本来ならこれも床に置いておくタイプのようで、両手で持ってもずっとりと重たい。
それを機材の前へと移動してきた。


殴る音も、切り裂く音も、肉が溶ける音も面白い。
だけどシュレッダーで指を切り落とす音はきっと誰も予想できないはずだ。
音が大きくなるはずなので、まずはマイクの設定を少しだけ変更した。


この日のために奮発して購入したマイクには、ところどころ血がついている。
いつの間にか飛び散っていたみたいで、軽く舌打ちをした。
まぁ、これも仕方のない犠牲か。


ここまでしておいてまともな生活に戻れるとは思っていないし、思いっきり汚すのだって有りかも知れない。
キツネ面はそう思い直してシュレッダーにスイッチを入れた。


微かな機械音が聞こえてくるけれど、この程度なら音の邪魔にはならないはずだ。
それからまだ気絶している久貴の手首の拘束を解いた。
手首にはくっきりとロープの痕がついていて、赤くなっている。


久貴は何度も暴れていたから、手首の皮が剥けて血が出ている部分もあった。
キツネ面は久貴の右手を掴むとシュレッダーへと近づけていく。