息苦しくて、めまいを起こしてしまいそうになり、両足をひっしに踏ん張った。
ここで倒れてしまったらまた彼らの格好の餌食にされる。

特に堀川由佳に、クラスを悪い方へと引きずっていくあの子に餌食にされてしまう。
岩上の口は一瞬にして乾燥しカラカラに乾いていく。

今すぐにでもこのクラスから逃げ出したい気持ちをグッと押し込めた。


「2時間目と3時間目の授業が入れ替わって……」


注意事項を読み上げる声が震える。


「だからぁ! 聞こえませぇん!」


由佳がわざとらしく声を上げる。
それを火切りにしてあちこちからヤジが飛び始める。


「聞こえませぇん!」

「声小さすぎませんかぁ?」

「先生ちゃんとしてくださぁい!」


大人しいはずの生徒たちまでクスクスと笑い始める。
それは岩上がこのクラスで何度も見てきた光景だった。

敵意が敵意を誘発して、それが1人の人間にぶつけられる。
相手がどう考えていようと、この子達にはまるで関係がない。