──ガチャッ





勢いよく開かれたドアの向こう。
あたしは何かを考えるよりも先に、高嶺に飛びついていた。





「うおっ……抱き着かれるのは想定外…」




と呟きながら、あたしの腰に手を回す高嶺。
クリスマスの日も結局会えてないから、数日ぶり。



高嶺の匂い…やっぱり、いちばん落ち着く。




ねぇ。
高嶺にはわかる?



会いたくて仕方のなかった人が、突然目の前に現れた時の高揚感。





「高嶺っ……」


「…やべー、可愛すぎ」





こんなときまで甘い言葉をくれてしまう、高嶺がやっぱりあたしの中で優勝だと。



それだけは、誰にも譲れない。
高嶺が、大好き…。






「なぁ、楓夕ちゃん」


「…うん」


「ちょっと公園行かね?」





高嶺と一緒にいれるならどこでもよかった。
あたしは当たり前のように頷いて、高嶺と離れる。




抱き着いたのは自分でも想定外だったし、勢いに任せただけだから。
…手、繋ぎたいけど、見てることしかできない。





「はい」





突然高嶺の声。
はい…って、差し出されているのはどう考えても左手。




これは…握ってもいい、ということ?





「さみぃからね」




…うそつき。
高嶺もあたしと繋ぎたかったの、知ってる。




あたしが高嶺の顔を見上げてじっと凝視してみたら。





「あは。うん、嘘。…楓夕とちょっとでも触れていたい」





最後に、「ダメ?」なんてかわいく首を傾げて聞いてくる高嶺。




…降参。
ダメなわけない。
だってね、あたしも繋ぎたかったからね。




高嶺。
そういうの、相思相愛って言うんだよ。