「…てかなに? ついに俺のこと気になってくれた?」
それでいて…顔面偏差値、中の中。
特別可愛いといわれるような顔立ちではない上、誰かに媚びない性格。
…やっぱり、ちゃんと考えてみても、あたしのことを好きな理由がわからない。
「なわけないでしょ」
「えー。いつになったら俺のこと見てくれんの?」
毎日毎日、うざいくらい視界には映ってますけども。
…まぁたぶん、”見てくれる”というのは、そういう意味ではなく。
「答えかねます」
「はは、冷たいなぁ」
まっすぐ前を向いたまま答えれば、隣から笑い声が聞こえてきた。
あたしがどんな言葉をかけても笑うじゃん、嬉しそうじゃん、コイツ。
…調子、狂うなぁ。
「ま、そんなところが好きなんだけど」
校門をくぐった先。
柊木高嶺の爆弾発言に、足を止めそうになった。
…こんな公共の場で好きとか言うやつあるか、バカ。