「そしたらこうしてドンピシャで楓夕に会えたんだから、すごいよなぁ」
…嬉しそうにはずんだ声。
ぎゅっとスクバのひもを握りなおして、柊木高嶺とは反対方向を向く。
それに言葉を返す気力もなく、あたしは黙る。
コイツはそれでもめげず話続けてくれるから、よくも悪くも、退屈はしない。
この浅桜楓夕という人間は。
昔から、特筆して秀でた能力もなく。
勉強だって、運動だって、中の下って感じ。
身長は155㎝。
体重は、たぶん平均くらい。
制服の着方は、基本カッターシャツとリボンオンリー。
この時期はまだ暑いから、長袖カッターシャツを腕まくりしてすごしている。
スカートは二つ折り。
先生に怒られること、しばしば。
ソックスはひざ下。
登校スタイルは黒色のローファー、電車通学。
髪色も黒。
毎朝、すこし緩めに毛先を巻く。
ナチュラルめなカラコンと、薄いスクールメイク。
普段は何も言われないけど、まぁ身だしなみ検査のときだけ普通にバレるくらい。