「ずっとピリピリしてんの、マジで」
「…そうなんだ」
だけど、そんなのあたしに関係ない。
ちょっと嫌なことが重なったんでしょ…。
そんな思いとは裏腹に。
ふたりは口をそろえて、こう言う。
「だから、楓夕と話せてないせいなんだって」
…ないよ。
だってあたし嫌われたもん。
嫌ってなかったら今頃話しかけられてる。
「高嶺もいろいろ思うとこがあんだよ。全部、楓夕のことを思ってじゃねぇの？」
「楓夕のほうから話しかけてほしいって思ってんのかもねぇ」
…あたしのことを思って？
そう、なのかな…。
だとしても。
自分から話しかけるなんて、無理だよ…。
「俺からしたら、お前らなにしてんの？ って感じだけどな」
「あたしもそう思う」
そんなの、あたしがいちばん分かってる。
だけど、こんなことになったのはあたしが原因だ。
…でも、もし高嶺も、”言い過ぎたかも”って思っていたとしたら…？
「柊木くーんっ、今日一緒に帰ろ？」
クラスの女子の甲高い声が聞こえてきて、ため息をついた。
…考えるのはやめよう。
きっとそのうち、時間が解決してくれる。
