『俺、もう楓夕に関わんない』
あの日の言葉が、今もずっと頭に流れてる。
関わらないなんて、言わないでよ…。
あたしは、毎日高嶺の姿を探してる。
学校でも、街でも、どこにいても。
高嶺と話したいって、心から願ってる。
「辛気臭いなぁ、楓夕」
「ちょっと、絢翔くん!」
ズケズケとあたしの席の前まで来てそんなことを言い放つ絢翔に、咲花が怒る。
この数日、何度か見た光景だ。
「…暗くしちゃってごめん」
「別に俺らは気にしてないけどなぁ、咲花?」
「うん、あたしらはいいけど…」
二人そろって困ったように眉毛を下げ、教室の前の方で男子と談笑している高嶺に視線を向ける。
「高嶺が最近、変なんだよ」
「…変?」
「前より怖いよね…」
「怖い…?」
高嶺のこと、探してるって言っても。
見つけた瞬間慌てて目をそらしたりしてたから、高嶺の変化なんか気づくわけない。