高嶺と話さなくなってから数日が経った。
あたしも高嶺とは目を合わせないし、高嶺も声をかけてこない。
だから、自然と話さないだけ。
そう思うのに、大丈夫、あたしは避けられてない…って、自己暗示をかけるには、今までが甘すぎた。
自然と話さないなんてありえない。
見かければ絶対話しかけてくれたし、毎朝校門の前で待ち伏せしてくれていた。
あのときは幸せだったな、とか…。
今更後悔しても遅い。
あたしが悪いんだから、ぜんぶ。
失ってから気づくなんて典型的な話。
…あたしはそんなヘマしないなんて、本気で思ってた。
「楓夕、今日カフェとか寄る?」
毎日のように、咲花が気を利かせて放課後遊びに行こうと提案してくれる。
だけど、どうしてもそんな気分にはなれなくて…。
「…ごめん、やめとく」
「だよね…」
どことなく、あたしと咲花の間にも重い空気が流れてしまうこともしばしば。
それでも咲花が明るく話題を振ってくれるおかげで、なんとか咲花とまで険悪にならずに済んでる。