俺の母親と父親は女の子を望んでいた。


でも、結果は双子の男の子。

ほとんどの人が間違えるほどに顔が似ていて、

母親と父親が綺麗な顔だったこともあって、それなりにいい顔だった。

それが、俺楓(かえで)と、兄の実(みのる)だった。


女の子を望んでいたとはいえ、自分の子供だったということから、俺も実も大事にされてきた。



だけど、母親と父親の態度が変わったのは俺たちが8歳になった時だった。

その日は母親も父親も帰りが遅く、2人でテレビを見ながら夕飯を食べていた。


すると、ガチャと玄関が開く音と共に、嬉しそうな母親と父親の姿があった。

「どうしたの?」

と、実が話しかけると、
「この中にね、女の子がいるのよ!」と、いつも聞いたことのない声だった。


父親は「2人はお兄ちゃんになるから、自分でできることは頑張ってね」なんて、言い出した。

俺も実もお兄ちゃんという響きに「うん!」なんて、明るい声でそう言った。