でも今は焼き始めてから12分。

ここまで来ると生地がアッツアツでとても触れたもんじゃないため、もう神頼みするしかないのです。

「あと8分かぁ...カスタード作るかぁ」

どれだけ生地がヘタッピでも、

中身を作ってあげないのは食材の生産者さんに申し訳ないため、

気だるげな気持ちでカスタードクリーム作りを始める。


「生地横だけじゃなくてした割れてないといいなぁ...カスタードこぼれちゃうんだよなぁ」


ちなみに私がどれだけ独り言言っても、誰にも引かれません。

理由は簡単、調理部の大半は幽霊部員から!

この学校には帰宅部はなく、入りたくない人は美術部、科学部、そしてこの調理部に入るしかないのです。

でも美術部は、絶対に1年にひとつ作品を作る、科学部はコンテストに絶対参加という凄ーくメンドくさい。

ところがどっこい調理部!

スイーツコンテストはやりたい人が参加!

顧問は2週間に1度しか来ないし興味が無い!

1番便利な部活な為、本来なら40人ほどいる部員の35名は1度も来たことがないのである。

私は2年生のため後輩の顔すら知らない...。

でも良いことはある。食材を使う人が少ないから部費の心配入らないのだ。

これには私含め数名の女子は大喜び。

お金のことは気にせず好きに料理を作れる完璧な環境なのだ。