急いでイケメンさんの上から身を避ける
もう一度謝ろうと顔を改めてみた時に気づいた。
不機嫌に歪むその綺麗な顔の頬に、痛々しい傷が刻まれていた。
赤く腫れ上がっている。
私のリュックについていたストラップで傷つけてしまったらしい…
「あ、頬…!」
「は?」
おろおろとする私が気に入らないのか、不機嫌に拍車がかかるイケメンさんに急いで持っていた手鏡を見せる。
自分の頬の傷を確認したイケメンさんは、スッと私へ視線を移して、
「どうしてくれんの?俺商売道具なんだけど」
その声は低く、目の輝きはなくなっていた
…商売道具?
「……もしかして俺のこと知らねぇの?」
あまりにも不思議そうにしている私に呆れたのか、そんな質問が投げかけれた。
ありえないとでも言いたそうなイケメンさんの表情