手術の日の朝。

あたしは、いつもより早く目覚めた。

裕も起きていた。

「お・おはよう。」

「おはよう。」

裕は、笑顔だった。

でも、この笑顔の裏側には……

きっとすごく不安があったんだね。

死と隣り合わせの…時間。

怖かったよね。

看護師さんが来た。

「もうそろそろ、準備してくださいね。」

「あ…はい。」

手術の時間になった。

「行こうか。」

裕が、ストレッチャーに乗った。

「…裕。」

泣いてしまった。

自分との約束を守れなかった。

泣かないと決めてたのに……

「大丈夫だから。」

裕は、あたしの涙を拭いて言った。

「行きますよ…」

「あっ…ちょっと待ってください。」

「友梨亜…」

最後に裕はあたしに、

キスを残して行った。

あたしのファーストキスだった。

「…裕……」

どんどんあふれてくる涙。

もう、止まらない。

裕、生きてて……