「手術しましょう。」

「手…術ですか?」

「はい。裕君は、少し処置が遅かったので進行が速いです。なので、ちゃんと腫瘍を取り除く必要がある。」

「それって…成功する確率は…」

「進行が速いので確率的には、ものすごく低いです。」

…低い? 死ぬかもしれないってこと?

「俺、やるよ。」

「裕!本当に…?」

「どっちにしても、このままじゃ死ぬ。だったら、やったほうがいいじゃん?」

裕はこんな時も笑顔だった。

「友梨亜ちゃんはどうしたい?」

「…あたしは……」

裕には両親がいない。

ずっと、1人で暮らしてきた。

だから、裕には家族を作ってあげたい。

家庭を持たせてあげたい。

…でも、死んでしまったら…

もし、失敗してしまったら…

そんな夢、あげられない。

「………」

「友梨亜…。」

「裕が決めたことなら、協力します。」

「分かった。じゃあ、頑張ろうか。」

お医者さんは、笑って言ってくれた。

可能性は低い。

でも、これを成功させれば…

裕は生きていける。

裕の夢が叶うんだ。