「親父。」

親父の寝室のドアを軽くたたきなが
ら、再度声をかけてみる。

返事はない。

ドアをあけると、親父独特のにおい
と、酒のにおいが一気に流れ出てき
た。

「くっさ」

あまリのにおいに顔をしかめる。

カーテンを開け、取リ敢えず換気を
する。

涼しい風が部屋の中に入ってくると
同時に、汚れきった においも どこ
かに飛んでいった。

布団をかぶらずに寝ていた親父には
少し寒かったらしく、うっとうしそ
うに顔をあげた。


「朝だぜ。起きろよ。」

「あぁ、、、 もう6時なん?」

親父の質問に、直接答えず、思った
ことを言う。

「酒くせぇ。何時まで飲んでたん?」

「2時か3時ぐらい。」

そんな俺にいやな顔一つせず、普通に
答える親父は、すごいと思う。

「夜遊びもほどほどにな」

生意気な口を利く俺にも、特別怒った
リはしない。

「そーいやお前今日から寮やっけ?」

親父が身支度を整えながら聞いてきた。

正直覚えてたことがすごく意外だ。

「あぁ。」

嬉しい反面、戸惑いをおぼえる。
そっけなく返事をしてしまう俺にも
いやな顔をしない。