「うん」

困ったような顔をして、大介はうな
ずいた。

顔から血の気が引いて行くのが、鏡
をみなくてもわかった。

「真由にはゆった?」

「ゆってへん」

頭はこんがらがってるのに、冷静さ
は失っていないようだ。

質問攻めをできるほど、落ち着いて
いるわけでもなく、言葉が発せられ
ないほど愕然としているわけでもない。

いっそのこと、むちゃくちゃになっ
てくれればいいのに、とすら思う。

「あ、その先生な、早河夏木ってゆーねん」

大介は、そんな俺の複雑な状況を理解
してくれたらしく、その“先生”との
関係を説明してくれた。

簡潔にゆうと、

ナンパされてた先生を助ける
→お礼にお茶おごってもらう
→連絡先を交換する
→真由に連絡を取ってるのがばれる
→連絡を取らないと誓ったのに、先生か
 ら電話がかかってきて真由と喧嘩する
→先生に告白される
→断る
→真由にしてもないことをした、といわ
 れて喧嘩する(俺にいわせれば嫉妬)
→一緒に居ても不毛だと思うようになる
→好きだった気持ちがどこかに行ってし
 まった
→ぼろぼろの先生と偶然会う
→先生に惹かれてきた


と、いうことらしい。