厚化粧の顔を、惜しみなく俺に近づけてくる。まさに厚顔無恥。

化粧も香水も、こいつの言う言葉も……

あれもこれも、全部ウソくせぇ。


掴まれていた腕を振り払う。そして近寄って「ちゃんと聞けよ」と念を押した。


「つぎ小野宮に何か言ったら、俺が黙ってねーからな。俺も小野宮も、お前に交通委員の座を卒業まで譲ってやるから覚悟しろ」


「なっ!?」


「どんな手を使っても俺が守る。

小野宮には指一本触れさせねーよ」



それだけ言って小野宮の後を追う。


背後で「亀井さん大丈夫!?」と言う声と、「きゃ〜♡」という叫び声が聞こえたが、そんなの無視だ。


小野宮さえ傷つかなかったら、それでいい。