「おい、小野宮その顔っ!」

「ご、ごめん、なさい……っ!」



小さい体を活かして、俺の手をかわしてスルリと抜けた小野宮。

脱兎のごとく逃げ出したかと思えば、外野を避けながら素早く廊下に出て行った。



「あ!?ちょ、おい!

小野宮!待てよ!!」



席を立って追いかけようとした、その時。



「ま、待って!王子!」



俺の前に立ちはだかった外野――

亀井だ。



「な、なんで小野宮さん?さっきの話、本当なの!?」

「あ?しっかり聞ーてんじゃねーか。ホントだ」

「う、ウソでしょ!?」



ガシッと、俺の腕を握る亀井。

全身の力で俺を引き止めているのが分かる。つっても、いとも簡単にほどける弱い力だ。