「先生ってことは、小野宮さんが弟子?」

「いや、生徒……かな……?」

「そっか……いや、呼び方の問題じゃなくて。


え、つまり、小野宮さんは誰かに取られた気分になって悔しいって言うより、先生に構って貰えなくて寂しいってこと?」


「あ。それに近い、かも……。私が隣のはず、だったのにって……その位置は、私の場所、なのにって……」


「そうか。僕はてっきり小野宮さんが――」

「……」

「……」



あれ?


急に早乙女くんの声が聞こえなくなって、一分くらい経った。


あれ?

早乙女くん?



私はまだうちわで壁を作っていたから、早乙女くんの方は見えない。

早乙女くんが言おうとしてた言葉、もっと聞きたかったんだけど……。



「さ、早乙女、くん……?」



不思議に思って、うちわを下げる。

すると、そこには――