「……先に楽屋戻るって言ったじゃん」


「違う。ののか俺のこと完全に避けてるでしょ」


「…っちがう」


「嘘」



否定した瞬間、すっと彼の瞳が冷たくわたしを捕らえた。


そのままぐっと部屋に押しやられる。



「……なに、……っん」



パタンとドアが閉まる音と同時。


少しつめたい手に腕の自由は奪われて、そのまま唇をさらわれた。



「……っは、なにするの、……っんん」



問いかけても、まるで聞こえてないかのように、言葉ごと甘い感触に飲み込まれる。


すぐに頭が痺れる感覚に流されそうになって、無理矢理顔を背けた。


まだギリギリ力が入る手で、目の前の琉唯くんの胸板をぐっと押し退ける。


動かない、と思ったけど琉唯くんの体は呆気なく後ろに傾く。



「……なに」



案の定、不機嫌な声が降ってきた。



「……やだ」


「……」


「ねえ、なんでわたしに構うの?美奈さんと付き合ってるんでしょ?彼女のとこ、行けばいいじゃん」