~もう…………っ!



あっという間に形勢逆転。


さっきまでの子犬琉唯くんが今はわるーい王子様。

赤くなった顔を覗き込まれて、さらに真っ赤になるわたしを見て愉しそうに口角を上げる琉唯くん。



「……水、飲みたい?」


「……え、あ、うん」



まったく予想していなかった言葉が飛んできて、返事をするのにだいぶ時間がかかった。



……たしかに、喉かわいた……けど。



ちょっと沈んだことは、彼にバレてないみたい。


そして、おかしいことがひとつ。



「……琉唯くん」


「ん?」


「あの……ペットボトル」



そう。お水を飲みたいのに、一向に琉唯くんがペットボトルから手を離してくれる気配がしない。



「水、飲みたいんでしょ?」


「飲みたいよ、だからーー」



その瞬間、ぐいっと一口お水を口に含んだ琉唯くんはわたしのすぐ目の前に来て。


ーーつめたいお水を流し込まれた。



「……ん、」