「……え」
思わず、そんな間抜けな声がでた。
だって琉唯くんの顔ーー余裕がないって言っているような気がするから。
「……っるいくん……?」
「それもだめ。声甘すぎて死にそうになるから、」
……琉唯くん、性格変わってない……?
王子様でもなく、意地悪でもなく、またまた違ったそんな感じ。
そんな琉唯くんを見たら、なんだか可愛い垂れ耳の子犬に見えてきてしまって、手を伸ばさずにはいられなくて。
「……ふふっ」
「……なに、この手」
「かわいいなあ……って思って」
髪…さらさらだ。
わたしもたぶん、いつもと性格違うんだろうなあ。熱のせいでふわふわしてるだけなんだけど。
しばらくわたしに頭を撫でられていた琉唯くんは、痺れを切らしたのかパシッとわたしの手首をつかんだ。
「っあ、ごめ……怒った?」
「……うん、怒った。だって、」
ーー可愛がられるのはののかの方でしょ?
「……っ、」
「あーあ、こんなに顔真っ赤にして……かわいい」