「んーん」
そう言って、くしゃりとわたしの頭を撫でて立ち上がった琉唯くん。
「じゃあ、俺向こうの部屋いるから、ゆっくり休みな」
「ーーえ……」
ゆっくりと熱が離れていって、残った体温がすぐに冷めて、ほどけていってしまう手。
頭で考える余裕なんてなかったけど。
わたしはその手を、
ーーぎゅっと、握って離さなかった。
「っ、いかないで」
「……え」
「ここにいて……っ?」
言い終わってから、熱で浮かされた頭が少しだけサーッと冷める。
……なに、言ってるのわたし。
あとから後悔が襲ってきて、顔が上げられない。
無言になったこの空間で、じわりと視界が潤んだとき、
「っあーもー、」
なぜか焦ったような声色の言葉と、くしゃりと髪を乱した音が降ってきた。
「ののかって、ほんと狡い」
ず、るい……?
そんなの分かんないよ。ずるいのは、琉唯くんのほうでしょ。
「ののかが弱ってて、赤い顔して、こっちは理性保つのに必死なのに」