「ん?」



わたしをしっかりとその瞳に写して、穏やかな視線で待ってくれることに胸がゆるく締め付けられる。



「……なんで、今日わたしとの撮影オーケーしたの?」


「……」


「琉唯くんは女嫌い、でしょ?なのにわたしと一緒になんてーーーんっ、」


「……わかってないなあ」


「……え、なんて……?」

くちびるが塞がれたことに気づいたのは、離れた少しあと。


ぽそ、と呟かれた言葉は独り言だったのか、あまり聞き取れなかった。


真っ赤になるわたしをおいて、琉唯くんの綺麗な顔はまた近づいてくる。



ーーここで拒まないわたしも、どうかしてる。



腕をクロスさせて拒む素振りをみせる。
けど、ほとんど力は入っていないからすぐに琉唯くんに壁に縫い付けられてしまって。




「ーっんん……っ、」


「“のの”のファンの子達は知らないだろうなあ」


「るい、く……っ」


「ののかがこーんな甘い声で可愛い顔して俺の名前呼んでるなんて」



触れている唇と、手首を押さえられている手は、とっても熱くて。



触れるだけの軽いものから、ぐっと唇を押し付けられて、深くなる。