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「ののー」


「……」


「ののちゃーん、怒ってる?」


「……」



ぜったい振り向いてやるもんか。

っこの、二面性王子様!



「……ののか、」


「っ、」



不覚にも、空いていた心の隙間にするりと入り込まれる。

耳元で甘く流し込まれた声は、どこか寂しそうで。促されて振り向くと、でもやっぱり意地悪な顔をした王子様だった。



「っだって、もう撮影中にはしないって言った、」


「……うーん、ののかが可愛すぎて?つい」


「っ、……」


「ごめん、“のの”が一生懸命取り組んでるの分かってるのに」



ここで素直に、「そうだよ」って言えないわたしはどうかしてる。


わたしは、プロのモデルなのに。

こんなこと、思っちゃだめなのに。



ーー撮影なのも忘れてしまうくらいに琉唯くんに溺れてる、なんて。



「……琉唯くん、」