「確かに調子悪い時が続くと落ち込むよね。でももっと胸張っていいんだよ」

「そうですか……?」

「うん。受験にテスト、学校行事に塾。目が回るくらい忙しい中でも全部真剣に取り組んでる。それだって、テキトーに買ったわけじゃないでしょ?」



先生の目が自転車のかごに向く。



「彼氏くん、きっと喜んでくれるよ」

「そう……ですかね。こんな、頼りない先輩がくれる物なんて」



赤いリボンが付いた紺色の紙袋にそっと触れる。


久代くんと付き合い始めてから、いい彼女、いい先輩になろうと奮闘してきた。

けど、毎回空回り。


食事会も勉強会も、本来なら開いた自分が率先して動かなきゃいけなかったのに、終始相手のお世話になって。

昨日も、目の前でドジな姿を晒してしまった。


ときめきや幸せで胸いっぱいだった当初と比べたら、今はもどかしさや不甲斐なさを感じることが多い。



「苦手教科ならまだしも、得意教科まで教えてもらって。そりゃああっちは学年トップだし、私と同じように塾にも通ってるし。勉強できるのは付き合う前から知ってたけど……っ」