「え? いや、元気ですよ?」

「そう? いまいち集中できてないかんじだったから、調子悪いのかなって思ったんだけど」



ピクッと顔がひきつる。



「あはは……バレてました?」

「まぁ、うん。なんとなく。那須さんとは2年以上の付き合いだし。何か心配事でも?」

「……はい」



街灯の下に移動し、話を聞いてもらう。



「最近、自分に自信が持てないんです。何をやっても全部ダメダメで……。今日も先生の話全然聞けてなかった」

「そんなことないよ。時々ボーッとはしてたけど、ちゃんと問題解いてたし。ノートも書いてたじゃん、色使い分けながらさ」

「っ、でもそれは、先生に注意されたからで……」

「今日がたまたまそういう日だったってだけ。那須さんが日頃頑張ってるのは知ってるから」



そう力強く励ますと、優しく微笑んだ。

何年も一緒に帰ってるから、お兄さんのような感覚が強かったけど、やはりそこは先生。生徒のこと、よく見てたんだな。