「冷房対策で持ってきたんですけど、出番がなかったので。良かったら使ってください」

「……ありがとう」



お言葉に甘えて袖を通した。


同じMサイズでも、体感はLサイズ。なんだか包み込まれてるみたい。

この清潔感のある香りは洗剤? 柔軟剤かな?



「あ、ここ間違ってる」

「ええっ⁉ どこどこ⁉」

「セイの部分。日へんじゃなくて目へんです。あとここは、月じゃなくて円って書きます」

「そうなの⁉ 危なかったぁ。ありがとう!」



我に返り、慌てて書き直す。


本当に危なかった。あのまま夢中になってたら完全に危険人物化してた。

もう、しっかりしろ私! テスト直前だぞ!

受験には関係なくても、赤点取ったら追試があるんだから。卒業まで油断しちゃダメ!


以前よりも厳しく活を入れ、時折彼の手を借りながら勉強に励んだ。







「今日はここまで。お疲れ様でした」