「健康的だなって思います。献血も基本的に50キロからできますし」

「た、確かにそうだね。太ってる、とは思わない?」

「はい、全く。同じ体重でも、筋肉量とか体脂肪率とかで違ってきますし。冗談でもそんなこと言ったら姉ちゃんにボコられます」



恐ろしい言葉で締めくくった久代くん。

話し方に一切迷いがない。どうやら本音のようだ。



「良かった、幻想抱いてなくて。これで安心して太れるよ」

「先輩は50キロ未満なんですね」

「うん。っていっても、あと2キロで到達す……あ」

「へぇ、下の姉ちゃんと同じかぁ」

「いやぁぁぁ! 今の忘れてぇぇぇ!」



悲鳴を上げてテーブルの下に潜り込む。


ホッとしたからって口滑りすぎでしょ私!
素直どころかバカの中のバカだよ!


失態を晒して意気消沈。

膝に顔を埋める私に、久代くんは優しく頭を撫でて……。



「大丈夫。多少太ってようが痩せてようが、先輩が元気でいてくれるだけで充分ですから」



顔を上げた瞬間、ドキッと胸が高鳴った。


柔らかな微笑み。プラス、完璧なフォロー。

久代くん、一体君はどこまで優等生なんですか。
あと、至近距離でその笑顔は反則だよ……。


その後勉強を再開させたものの、またも間違いを発見。結局何1ついいところを見せられず幕を閉じたのだった。