体験談を基に力説する璃愛。


璃愛の家には何度か行ったけど、まさかそんな強烈な子が近くにいたとは。

それらしき子は同級生の中にはいなかったから、学年が違うか他校の子なのかも。



【とにかく、好みは人それぞれだから。無理して相手の色に染まる必要はなし。もうすぐ説明会始まるから切るね】

「え、ちょっと待っ」



切れちゃった……。
でもしょうがないか。あっちも予定があるもんね。


諦めて売り場を回っていると、犬柄のスケジュール帳が目についた。

この絵柄……私の弁当箱と同じシリーズだ。



『えっ、お姉さんだったんですか?』



その瞬間、久代くんの驚く声が脳内をよぎった。


『妹みたいな存在』

これも『お姉ちゃんいそう』に続いて言われてきた台詞。


昔はさほど気にしてはおらず、むしろ年上慣れしてそうと肯定的に捉えていた。

けど、身近な人の本心を知った今、素直に喜べるかといったら……。