「いやぁあああ!」




耳をつんざくような悲鳴の後、何かが振り飛ばされるのを見た。

そのなにかは勢いよくメリーゴーランドを取り囲む柵にぶち当たる。

それと同時に生ぬるい液体が私のところまで飛んできていた。

メリーゴーランドはゆるゆると回転数を下げていき、やがて静かに止まった。

そこに由紀子の姿は見えない。

嫌だ。

見たくない。

だけど目が探してしまう。

メリーゴーランドの柵にめり込んだ由紀子の体。

その体はまるで鋭利な刃物で切られたように、柵の形にそって切断されている。

切断されきれなかった部分はぐちゃぐちゃに破損して、周囲に内蔵が飛び散っている。

私は自分の頬にそっと触れた。

ぬるりとした感触があって指先を確認してみると、由紀子のち肉がこびりついていた。




「あ……」